犬しつけの中でも特にメジャーで、覚えさせたいのがおて、おすわり、伏せだと思います。
その中でも今回は伏せの教え方を紹介します。
伏せができれば、飼い主さんとお出かけをしても静かに待っていることもできますし、一緒にお出かけしても飼い主さんも安心ですよね。
記事の目次
伏せはしつけする上で大事
伏せはお腹全体が地面に接している姿勢の状態を言います。伏せのしつけというとほとんどの方は飼い主さんが指示をした時にすぐにその姿勢をとれるようにすることだと思いますよね。
でも、それは少しだけ違います。伏せを犬に覚えさせる事は、犬にとって最も楽な姿勢を犬自身が覚えてくれるようになることなのです。犬が伏せを覚えてくれる事で楽な姿勢を覚えてくれるので、待てが覚えやすくなり、長時間待てをする事ができるようになります。
伏せを犬が習得していると、おとなしくしていてほしい時におとなしくしていてくれるようになるので、犬と一緒にでかけてもおとなしい犬に育てる事ができるのです。その為、様々なしつけをする上ではとても重要なトレーニングになります。
犬が伏せをする意味って何?
では、犬はなぜ伏せをするのでしょうか?
犬が行う行動は人間で言えば「言葉」と同じようなもので、些細な行動であってもちゃんと意味があります。そして伏せにもしっかりとした意味があるのです。
犬が野生であった時の習性やカーミングシグナルであったりなど、見ていてあげると色んな意味を読み解くことができるのです。
伏せは子犬の時からしつけをしていても覚えなかった、という場合でも、成犬になってからでもしつけをする事ができますし、覚える事はできるので、挑戦してみて下さい。
気持ちを落ち着かせようとしている為
嬉しくなってはしゃぎたい、不安で気持ちが落ち着かない、緊張でソワソワしてしまっているなど、気持ちが不安定である時、犬自身が気持ちをコントロールする意味で伏せをする事があります。
さらに、カフェで飼い主さんの足元でじっと待っていないといけない時、出かけ先の慣れない人込みの中、大きな音や声が周りで鳴っていてもおとなしくしていないといけない時などに伏せを自分でしながら気持ちを落ち着かせて、じっと待っていることができるようになるのです。
しかし、実際にやってみると、自分から伏せをして待っているような犬はほとんどいません。その為、習慣をつける事で飼い主さんがしっかりとしつけをしてあげて、伏せが自然にできるようにしておく必要があるのです。
敵意がないことの現れ
伏せをしている時は、体を低くして、相手に対して敵意が全くないことを表す意味でもあります。捉え方によっては服従しているという意味で考える人もいますが、相手に対しての親しみであることもあります。
犬同士がけんかになってしまいそうな場面でも、犬が伏せをしてじっとしていれば、それが相手の犬に対しての敵意がないという示しになるので、犬同士の喧嘩を防ぐことができるのです。
伏せのしつけ方とコツは?
犬の伏せのしつけは、まずは静かな環境で行ってあげてください。
周りがにぎやかだと、犬も集中することができずに、うまくしつけができない事がほとんどです。
これは伏せもそうですが、他のしつけもできれば静かな場所で行ってあげて、犬も集中できる環境で行ってあげた方が成功しやすいです。
犬に出すコマンドは、今回は「伏せ」という言い方で紹介しますが、もちろん英語で「down」と教えても問題ありません。
日本語では、「伏せ」と「お手」は発音が少し似ていることから犬には少し伝わりにくいことがあるので、あえて「伏せ」のコマンドだけをdownと教える人もいますので、あまり言い方にこだわらず、言いやすく、伝わりやすい指示で行ってあげてください。
しつけは英語がいいのか、日本語がいいのかはこちらで詳しく説明しています。
合わせて読んでみて下さい。
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伏せのしつけ方は?
犬におすわりをさせ、その状態から飼い主さんがおやつなどを持って、それを犬の鼻先に持っていってあげます。この際、必ずしっかりとアイコンタクトをとってください。そして犬をおやつに集中させます。
この段階では犬は伏せの意味を知らないので、伏せとは言わないでください。
では、先ほどの鼻先に持ってきたおやつを下に下げて、犬が下を向くようにさせて下さい。犬がおやつを追いかけてひじが地面につくようにしてあげる所まで誘導して下さい。ひじが地面についたらそこで初めて「伏せ」と言い、そしたらご褒美としておやつをあげてください。できたらちゃんと褒めてあげる事も効果があります。
犬のしつけの方法で行ってはいけないのが、力づくで押さえてそのポーズをさせようとすることです。強制的に行う事で犬が不快に感じてしまうと、その時点でしつけ自体を嫌いになってしまい、それ以降犬はしつけを嫌がるようになってしまいます。
根気強く行って、できたらご褒美や誉め言葉をかけてあげるなど、犬が楽しくなるようにしつけをしてあげるのが基本なのです。
犬の集中力は一般的には10分~15分程度とされていて、それを越えると犬は集中力を失ってしつけをしようとしてもやってくれなくなります。
その為、短時間で短い訓練を細かく繰り返し行うことが大事です。静かな室内でできるようになったら今度は普段散歩しているルート内で行うなどして、少しずつ色んな場所で訓練を行うようにしましょう。
最終的な目標はどこででも伏せができるようになることです。
しつけ方のまとめ
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- おやつを鼻下に持っていってあげる
- 持っていったおやつを地面に近づけて、犬がひじをつくまでおこないます
- 完全に地面にお腹が付いたら伏せと言って、ご褒美をあげます
逆効果になってしまうしつけの方法はこちらで詳しく解説しています。
あわせて読んでみてください。
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犬が伏せを覚えてくれない時の対処法とは
一生懸命訓練をしても全然伏せを覚えてくれない事もあると思います。
先程の方法でおやつを鼻下に持っていきながら誘導しても後ろ足で踏ん張ってしまい、なかなか伏せの姿勢になってくれないような犬も中にはいるみたいです。
こういう時はどうすればいいのでしょうか?
伏せがうまくできない時のトレーニング方法
では、実際犬が伏せをできない時に行いたい方法を紹介します。
・飼い主さんがまずは座り、片膝を立てた状態になります。そして犬が通れるほどのトンネルを作ってください
・ご褒美のおやつを使い、そのトンネルを何回もくぐらせてください
・犬が安心して何度も通ってくれるようになったら膝を曲げる角度を少し低くして同じ事をしてあげます
※しかし、この時無理に押さえて通らせてはいけません。
・犬が匍匐前進をするような体勢で通れるようになるくらいまで低くして、伏せの状態になったら、手の動きは止め、その場で「伏せ」と犬に向かって声をかけて下さい
・これができたらご褒美におやつを与えます。これを何回か繰り返してください
体高がある犬の場合は少し難しいかもしれませんが、飼い主さんがゲーム感覚で犬と遊ぶように行ってあげれば、犬も楽しんでやってくれると思います。そして、その遊びの中で伏せを覚える事ができるようになるのです。
伏せの動作と指示を繋げてあげる方法
人間からすると犬は言葉を理解していると思われてしまいがちですが、ちょうどいいタイミングで、的確な指示を出してあげないと犬は伏せと言われても混乱してしまいます。
訓練をしていく過程で「伏せと言われてあの動作をすると、おやつがもらえる」と犬が学習をしたら、次に行動と指示を結び付けてあげる必要があります。
おやつを犬の鼻下に持っていって、伏せの姿勢をとらせ、お腹を床に付けたタイミングで伏せと声をかけてあげる先程のトレーニング方法は、指示した言葉と行動を一致させる役割をします。
この時気をつけたいのは、行動よりも指示が先になってしまう事です。指示を先にしてしまうと、犬は本来覚えさせたい伏せの状態とは違った姿勢で覚えてしまいます。
先程の事ができるようになったら、今度は伏せの指示で犬が伏せをする事ができるかどうかをテストしてみましょう。
伏せの指示で犬が伏せの姿勢をする事ができるようになったらしつけ成功になります。
ハンドシグナルを覚えさせる
老犬になってしまい、耳が遠くなってしまった犬にも伏せの指示ができるように、犬がまだ若い成犬くらいの時にハンドシグナルを覚えさせておく飼い主さんも中にはいます。
伏せの指示と同時に手のひらを床に向けて伸ばしてあげるような行動をすると、これが伏せのハンドシグナルになります。
ハンドシグナルの覚えさせ方
・手のひらを犬に見せ、犬の注意を手のひらに集中させたら腕を下げるような動作をして下さい
・犬が動作に対して注意を向けたら「伏せ」と声をかけて指示を飛ばします
※この時、動作の後に指示を出してあげる事がポイントになります。
伏せという指示で床にお腹をつけたらご褒美をあげる、という流れは同じです。
これをする事で、手のひらを床に向けて伸ばすことと、伏せという指示が同じ意味であることを覚えさせることができるのです。
犬がハンドシグナルをしただけで伏せの姿勢をとれるようになったらご褒美をあげて褒めてあげましょう。
これに慣れたら、どんどん伏せの指示の声を小さくしていき、声を小さくしても同じ動作ができるようになるまで反復練習をしてあげれば完璧にできるようになるでしょう。
ご褒美も徐々に減らし、最終的には褒め言葉だけで伏せができるようになったら完璧です。
まとめ
伏せを覚えてくれないで困っている飼い主さんは結構いると思います。
上記で書いた方法は最初は犬が集中できるように静かな環境で行ってあげる事がコツです。毎日実践して、少しでもできたら褒めてあげ、そしてまた同じように繰り返す、これを行ってあげると、飼い主さんと犬の距離もどんどん近くなりますし、絆を深める事ができると思います。
根気強く、楽しくしつけをしてあげましょう。