犬が引き起こすアレルギー性皮膚炎の症状は主に2つあります。
それは、
・食物アレルギー
です。
これらに共通するのは肌に赤みができてしまい、皮膚が痒くなるということです。それから、耳や目の周り、脇の下や後ろ足の付け根、脚指の間等に症状がでやすいという事です。
特に目の周り、まぶたのあたりが炎症を起こしてしまっている場合は結膜炎の可能性もありますので注意が必要です。
結膜炎に関しては別記事で詳しく解説しますね!
記事の目次
それぞれのアレルギー性皮膚炎の症状
では、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの症状を見ていきましょう。
アトピー性皮膚炎
ハウスダスト、花粉などの日ごろから日常生活に存在しているアレルゲンの原因に対して身体が過敏の反応してしまって、症状として皮膚炎を起こすことがあります。
これがアトピー性皮膚炎になります。
犬が元々持っている体質に原因がある為、完治は難しいのですが、薬やサプリメントなどを使って症状を軽減させてあげる事は可能です。
アトピー性皮膚炎の症状で注意したいのは以下になります。
・幹部が乾燥している
・慢性的な外耳炎や結膜炎である
・患部がただれている
画像はアトピー性皮膚炎が発症しやすい箇所にピンク色でマークをつけた画像になります。
出典元:https://www.koinuno-heya.com/byouki/kankakuki/skin/atopy.html
これを見てみると、目の周り、耳、口、前足の付け根、脚(爪や指の間)、お腹、後ろ足など比較的広範囲にわたって発症しやすい事がわかると思います。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因は皮膚のバリア機能の低下が原因です。皮膚のバリア機能とは、体内の水分が蒸発しないように体の内部にとどめておく機能の事です。この機能と同時に外部からの異物が体内に入ってこないように防いでくれる機能もあります。
この肌を守るバリア機能が何かの原因で機能が低下してしまい、皮膚が乾燥してしまったり、外部からの異物が入ってしまったりすることで炎症が起こってしまい、アトピー性皮膚炎を発症してしまうのです。
肌のバリア機能の低下の他にも原因があり、その代表的なものを以下にまとめました。
・ハウスダスト
・カビ
・花粉
といったものが原因になることがあります。
さらに、遺伝も関係していて、親がアレルギーを持っていると、子供もアレルギー持ちになる可能性が高くなります。
食物アレルギー
身体が過剰に反応してしまうアレルゲンが食べ物に含めれていて、それを口にしてしまった事で起こるアレルギーです。このアレルギーの場合は、アトピー性皮膚炎とは異なり、その食物を口にしなければ防げます。
人間もそうですが、犬もアレルゲンの特定には血液検査が有効と言われています。
しかし、その他にも経験からアレルゲンを予想して、アレルゲンと思う食べ物を排除した食べ物を与えて経過を観測していくような方法もあります。
アレルギーってそもそも何?
人間に限らず犬もですが、体を守るために体内に入った異物を排除しようとする働きをしています。この排除する為の働きそのものの反応が強いが為に、自分自身を苦しめてしまうのがアレルギーです。
アレルギーの原因であるアレルゲンは個々で様々ですが、アレルギーが起こってしまう原因はほぼ共通しています。
症状のポイント
・季節に関係なく常にかゆがっている
・目、耳、口の周り、お腹や指の間などとにかくやたらとあちこちを痒がる
・下痢や吐き気などを起こしてしまっている
アレルギー症状以外にも犬は様々な皮膚の病気にかかってしまう事があります。
以下は犬がかかりやすい皮膚の病気をまとめた記事です。
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アレルギーコップ説
コップの大きさをアレルギーの許容範囲として、注ぐ水などの飲み物をアレルゲンとします。コップの大きさは人によって様々で、深くて大きい人もいれば浅くて小さい人もいます。水を注ぎ続けている状態はアレルゲン物質が蓄積されている状態で、コップの大きさを超えた瞬間水は外にこぼれますね。これがアレルギーが起こった状態だとする考え方がアレルギーコップ説です。
かゆいという症状と、かいてしまっている状態は、身体のSOSサインかもしれませんね。これが続いて、かゆみがひどくなりすぎると、それによるストレスが蓄積されてしまって、攻撃的な性格になってしまうといったかなり可哀そうな状態になってしまうこともあります。
犬の行動からいち早く病気に気が付いてあげれば、辛さやストレスから解放させてあげる事ができるかもしれないです。
特に皮膚炎になりやすい犬種
皮膚炎は犬種によってかかりやすさに違いが多少あります。
特にかかりやすい犬種は、
・パグ
・ボストンテリア
などの短頭種で、特に顔に凹凸がある犬は汚れが溜まりやすくなるので、かかりやすいと言われています。
さらにそれ以外の犬種では、
・シーズー
・ゴールデンレトリーバーなどのレトリーバー系
などの好発犬種なども皮膚炎にかかりやすく、細菌が繁殖しやすい犬種と言われています。
逆にかかりにくい、かかりやすさが平均よりも下の犬種は、
・チワワ
・パピヨン
・トイプードル
・ポメラニアン
です。
ただしこれらの犬種であっても全く発症しないというわけではないので、注意してあげる事は大事になります。
アレルギー検査
アレルギー自体は身体のシステム異常なので、それ自体を治すことは非常に難しいです。ほとんど不可能と言ってもいいかもしれません。
しかし、身の回りの物に気を配ってあげて、アレルギー反応が出てしまうものを排除してあげれば、アレルギー反応は起こにくいので、症状の緩和は期待できると思います。
アレルギーの検査の種類
愛犬に出ている症状がアレルギーから来ているのか別の物からきているのかを調べておく事は今後のアレルギーとの付き合いの中では大事な事になってきます。
除去食給与テスト
食物アレルギーの疑いがある場合はこの方法を行います。
まずはアレルゲンになりやすい食材を一切含まない食事を2ヵ月程度与えます。そして反応があるかどうかを観察します。このテストの期間中は専用の食事と水以外は一切与えませんので、おやつとかもダメです。
AIgE抗体検査
血液を約3ml程度採取して、アレルギー反応を起こす抗体を血液中から検出する方法です。
この方法は、一度に複数のアレルゲンを調べる事が可能なので、特定する検査の中では意義のある検査だと言えます。
この検査はアトピー性皮膚炎の検査では欠かせない物ですが、食物アレルギーの場合は抗体が検出されにくい為、多少費用はかかります。
B血中好酸球数測定
白血球の中にある好酸球はアレルギー反応を起こしてしまっている時に増加します。この状態は自己分泌ステロイドホルモンが低下してしまっている状態なんです。
好酸球の数はアレルギー反応の程度、治療の効果を判定する為には指標になるんです。
甲状腺ホルモン
犬に限らずですが、アレルギー持ちの動物は、甲状腺ホルモンの低下が併発してしまっていることが多いです。低下してしまっているとアレルギー症状を悪化させてしまい、治りを悪くしてしまっています。
こうなってしまっている場合は、不足しているホルモンを内服薬でしっかり補ってあげる事で治療自体の効果を高めてあげる事ができます。
皮膚検査
アトピー性皮膚炎は細菌、真菌感染、ダニ感染などが併発してしまっていることが多く、これらが治療を難しくしている原因です。
これらをコントロールしてあげない事にはアトピーの治療は上手くいきません。その為、定期的に検査をしてしっかり把握してあげる事が改善の第一歩です。
治療や予防
アトピー性の場合の予防、治療
基本は痒みを抑えたり炎症を鎮める為の投薬治療が一般的です。
そして、それ以外の新しい治療法として、アレルギー体質の改善と皮膚炎の症状を和らげるためのインターフェロモン療法というものも最近は注目されてきています。さらに、低下してしまった皮膚バリア機能を補う為、セラミド等の保湿してくれる成分を使って外部からアレルゲンの侵入を防いて、症状が悪化しないように防いでいきます。
それから、アレルゲンの原因になる食物や物などを特定して、それを除去してあげる事が大事になります。ダニはアレルゲンの原因になるものの中ではかなり疑いが高いので、生活の中でダニへの対策は徹底してあげる事が大切になります。普段から犬が寝ている場所はもちろんですが、犬が普段触れる場所の掃除はしっかりと行ってください。
さらに、室内の温度も関係があるので、適切な温度にしてあげて、ダニの繁殖を防いであげて下さい。
食物アレルギーの場合の予防、治療
食物アレルギーの場合は少し違って、食べてしまった疑いがある場合、まずは疑いがある食物をはずして食事をさせてあげる除外診断を行っていきます。もし、除外した食事でアレルギー反応が出なかったら、疑いのある食物を外した食事を続けていきます。
ドッグフードやおやつを変えた時にアレルギーを起こしてしまう事もあるので、アレルギーが出ないかを注意深く観察してあげる事が大事です。さらに、ドッグフード自体をアレルギー反応が出にくいラム肉なんかに変更してあげる事で予防がしやすいのと、体質の改善にも繋がりやすくなるのでお勧めです。
ただ、怖がって特定の物ばかり食べさせていると栄養が傾いてしまいます。
基本的には何でも食べさせてあげる事が大事なので、アレルギー症状を過敏に気にするよりはアレルギーが出た時に対処してあげる事の方が良いと思います。